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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

水葬―オフィーリア―

「水葬―オフィーリア―」
(2009年9月~2012年10月中旬作)

きれいなきれいな花を摘み
王様の冠よりも
美しい花輪を作りあげました
さぁこれを誰に捧げましょうか
――大切なお父様に?
――大好きな恋人に?
ああ 私には選べない
選べるわけがありません

花の赤は血よりも赤く
花の青は悲しみよりも深く
絡め合わせた茎と茎は絆よりも固く
愛をこめた冠を手に私は立ちすくんでいます

あなたのもとへ届けられたらいいのに
可愛らしいおとぎ話のように
小鳥たちがこの冠を
天国へ届けてくれたらいいのに

何かにすがりつくように
私は川辺の古木にしなだれかかり
老婆の腕のような枝先へ
花輪を飾ろうと手を伸ばしました
かよわい枝は重みに耐えきれず
きしんで悲鳴をあげました
私の体は冷たい水面へ落ちていきます

川の上で白いドレスは緩やかに広がり
なすすべもなく花輪もときほぐれていきます
色鮮やかな花たちが
踊るようにくるくると回っています
私の手首やくるぶしをくすぐって
川の水が崩れた花輪をゆらゆらと運んでいきます

きれいなきれいな花を摘み
お妃様のティアラよりも
美しい花輪を作りました
私はこれを誰に捧げたかったのでしょう
今、口ずさむ祈りの歌も
一体誰のために……?

――大切なお父様に
――大好きな恋人に
――それとも私自身のために

ああ 私には分からない
分かることなどできません

微かに響いていた歌声は
やがてせせらぎの中にまぎれて
私は川の底へと
ゆっくりと身を沈めていきます

そしてあとには
ほどけた花輪だけが
水の上をゆらゆらと漂っていました
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