忍者ブログ

私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

懐旧

「懐旧」
 (2026年8月23日作)

今は過去と地続きの世界だけど
今は今
過去は過去
故郷(ふるさと)へ帰っても
町は様変わりして
もうあの頃へは帰れない
旧友に会っても
どこかよそよそしくて
もうあの頃のように笑えない

手に入れられないものばかり
欲しくなる
私が求め続けていたのは
あの頃の町
あの頃のあなた
取り返しのつかない現実を
思い知る
私が戻りたかったのは
あの頃の私
もうあの頃のように生きることさえ
かなわないのに
PR

ドリームランド

「ドリームランド」
 (2025年10月7日作)

ここは素敵なドリームランド
時計の針が動かない遊園地
永遠の青空を約束しよう
ここは日の暮れない世界

辛い過去も不安な未来も
みんな忘れて踊りだそう
手と手を取り合ってリズムに乗ろう

ここでは誰も年をとらない
病にもならないし 怪我もしない
当然死ぬことだってないんだ

夢のような楽園
ずっとここにいたいよね
その気になれば空も飛べそう
あの無邪気なピーターパンのように

回転木馬に乗りながら
君の笑顔に翳りが見える
嘘と偽りで固められた
食品サンプルのようなこの場所で
疲れた溜息をこぼしている

無限に脈打つ心臓に
ありがたみなんて湧いてこない
本当は誰もが望んでいる
自分の終止符を打つその瞬間を

ここは不変のドリームランド
人類の理想を詰め込んだのに
皆、肩を落としてこの場を去る

夜空も朝日もないところは空虚だと
来場者は不満を漏らし
現実へ続く夕暮れの坂道を登っていく

永遠の青空は
こんなにきれいなのに
不思議なものだね
もう一度見上げてみると
悲しみで敷き詰められた
人工的な照明に見えてくるのだから

幻想空間

「幻想空間」
 (2024年11月10日作)

思い出はスノードーム
輝いていたあの瞬間を
静かに閉じ込めて
いつも きらきら 光を散りばめる

てのひらの中のスノードーム
疲れきった私の目で見ると
どんな高価な宝石よりも
病的なほどに私をうっとりとさせる

日が経てば経つほどに
果実が熟していくように
魅惑的になるスノードーム
時が流れてゆくことが
憎たらしくなるほどに
過去に固執する私

思い出は幻想と化し
スノードームは不自然なほどきれい
いつまでも色褪せず
星のように瞬き続ける

楽しい思い出ばかりがつまった
スノードーム
ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家のよう

私はその甘美な物語に酔いしれて
飴玉を味わうように
ハルシオンを一錠のみこむ

海の彼方へ

「海の彼方へ」
 (2026年7月4日作)

あなたをなくした季節が近づくと
胸が風にゆれる木々のように
ざわめく

日に透けた緑の下を歩みながら
じりじりと焼けるアスファルトの上を歩みながら
海へ向かう

誰もいない砂浜で
海の青、空の青を視界に満たし
無限のようにくりかえす潮騒の中に
あなたの声を探している
無限のようにくりかえすさざ波の中に
あなたの姿を探している

届けたかった笑顔がある
告げられなかった言葉がある
聞かせたかった叫びがある
訴えかけたかった心がある

張り裂けんばかりの私の声は
波音でかき消され
あふれる私の涙は
海水の中にまぎれ
ひとしずくの水になる

一生

「一生」
 (2025年4月12日作)

赤にまみれて
青に溺れて
黄に染まって

僕たちは生きる

緑に囲まれて
紫を見上げて
灰を見届けて

僕たちは生きる

茶に横たわって
桃に誘われて
黒にかき乱されて

僕たちは生きる
そしていずれ僕たちは
まだ手をつけていない画用紙のように
白になる

そしていずれ僕たちは
流れゆく水や風のように
透明になる
この色とりどりの世界の中で