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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

もの

「もの」(2004年作)
 
死ぬということは
つまり
単なる「物」になることだと
理科の先生が澄まして言った
「生物」「動物」 生命あるものが
生きていない物になるのだ と
動かない物になるのだ と
まるで他人事みたいに
それじゃあ次のページを…
かわいた授業は続いていく
 
ほんの少し前までは
私と歩いて
私とケンカして
私と泣いたあなたが
今は息もなく横たわっている
 
ほんの少し前までは
私と話し
私と手をつなぎ
私と笑ったあなたが
今は触れることすら怖い
 
私と過ごしたあなたを
私を愛してくれたあなたを
パンでも焼くみたいに火葬場へと運ぶ
もとの形をなくしたあなたを
くすんだ白になったあなたを
無造作な箸でついばんで冷たい骨壺に入れる
 
死ぬということは
つまり
マニュアルどおりの儀式を済ませば
それで とりあえず かたづいていく
 
死ぬということは
つまり
食器棚から一つの茶碗を壊せば
それで とりあえず かたづいていく
 
小気味良い音をたてて黒板が鳴る
チョークからは涙のような粉が
ゆっくりとつたい落ちていく
 
 
私は
教科書の上に
つっぷした
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