空の彼方
「空の彼方」(2019年11月頃作)
幽霊なんていやしない
お盆だなんてまるで意味もない
お坊さんの退屈な読経と
慣れない正座でしびれる両足
「天国・地獄」そんなものない
命がつきれば全ては無にかえるんでしょう?
それなのに 無駄なのに
遺された私は空の上にあの世を夢見る
名を呼んでも答える声はないのに
抱きしめたくても、その身体はもうないのに
それなのに 無駄なのに
遺された私は空の上にあの人を思い描く
親戚同士でたわいない会話が交わされ
少し酔った叔父の長い説教が始まり
幼いいとこのかん高い笑い声が響く
たくさんの肉親がいる中
あの人の顔を探してしまう
トイレに行くふりをして宴から立ち去り
独り青空を見上げる
「幽霊でもいいから出てきなさいよ」
私はあの人に怒鳴りつけたい
心がはちきれんばかりに
あの人への言葉であふれかえっている
頬をつたう涙までもが
快晴の空の色に染まっていく
こんなときに私は信心深くもないくせに
「神様」とやらにすがりつきたくなる
そして「あの人をかえして」と
ひたすら懇願したくなる
振り乱した髪も崩れたメイクもそのままに
しぼり出すような声で
あの人の名を叫びたくなる
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