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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

うさこ

「うさこ」
 (2026年5月24日作)

薄い桃色で手のひらにすっぽり収まるサイズの
うさぎのぬいぐるみを持っている
名前はうさこ
幼い頃の私がつけた安直な名前
私はいつもうさこと一緒だった
ままごとをするときも おえかきをするときも
学校の宿題をするときも テレビを見るときも
そのやわらかな体に触れれば
傷つけられた悲しみも
どうしようもない寂しさも
幾分やわらいだように思えた
時は経ち 日々は忙しく
私はうさこをソファの上に置いたままにして
うさこに構う時間がなくなっていった
気がつけば私の年齢は
「いい大人」と呼ばれるような数字になっていた
気がつけばうさこもすっかり薄汚れていて
部屋のインテリアに似合わなくなっていた
「そんなおんぼろなぬいぐるみ、捨ててしまえ」
と、父が言う
「ぬいぐるみなんて捨ててしまいなさい」
と、母が言う
私は「そうだね」と言いながら
リビングのソファにいたうさこを抱えて
自分の部屋に持って行った
私は何度もうさこをゴミ箱に入れようとした
でも、できなかった
うさこはただの古ぼけたおもちゃじゃなかった
うさこは小さい頃から私を見守ってくれていた
私はほこりだらけのうさこを丁寧に手洗いし
晴れた日にベランダに干して
うさこをきれいにした
ちょっとくたびれているけれど
うさこはがらくたなんかじゃない
うさこは昔と変わらない茶色の丸い目で
今日も見守ってくれている
「いってきます」と、うさこに言えば
「いってらっしゃい」と、うさこは言う
「ただいま」と言う私に
「おかえり」と言ううさこ

ぬいぐるみという枠を超えて
うさこはもうずっと前から
私の家族になっていた
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