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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

海の彼方へ

「海の彼方へ」
 (2026年7月4日作)

あなたをなくした季節が近づくと
胸が風にゆれる木々のように
ざわめく

日に透けた緑の下を歩みながら
じりじりと焼けるアスファルトの上を歩みながら
海へ向かう

誰もいない砂浜で
海の青、空の青を視界に満たし
無限のようにくりかえす潮騒の中に
あなたの声を探している
無限のようにくりかえすさざ波の中に
あなたの姿を探している

届けたかった笑顔がある
告げられなかった言葉がある
聞かせたかった叫びがある
訴えかけたかった心がある

張り裂けんばかりの私の声は
波音でかき消され
あふれる私の涙は
海水の中にまぎれ
ひとしずくの水になる
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一生

「一生」
 (2025年4月12日作)

赤にまみれて
青に溺れて
黄に染まって

僕たちは生きる

緑に囲まれて
紫を見上げて
灰を見届けて

僕たちは生きる

茶に横たわって
桃に誘われて
黒にかき乱されて

僕たちは生きる
そしていずれ僕たちは
まだ手をつけていない画用紙のように
白になる

そしていずれ僕たちは
流れゆく水や風のように
透明になる
この色とりどりの世界の中で

晩夏

「晩夏」
 (2023年8月30日作)

夏が過ぎ去っていくことを
ヒグラシが告げている

通り慣れた帰り道が
見知らぬ路地裏に迷い込んだり
見慣れた神社のお稲荷様が
神隠しのように消えてしまったり
聞き慣れた豆腐屋の奏でるラッパが
不穏な兆しを伝えてきたり

今日が今日じゃないような
ここがここじゃないような
ぼくがぼくじゃないような

そんな気がして自転車から降りる
夕焼け空が灰色の雲に追い立てられている
きっともうじきにわか雨がくる
竹林が風に押されてざあっと響く
ぼくは急いで自転車をこぐ

夏の足跡が薄れていくことを
ツクツクボウシが告げている

はやく お家へ帰らなきゃ
夕立におそわれてしまう前に
夏が終わってしまう前に

見切り品

「見切り品」
 (2026年6月5日作)

スーパーマーケットの見切り品のコーナーに
肩を寄せ合う食料品が
ちょこんと並んでいた
コーナーの中央には
「助けてください」
という切実なポップが書かれてある
買い手が見つからなければ
君たちはゴミとして処分されてしまうのか
と、思うと
段ボール箱に入った捨て猫を
見つけたような気分になる
私は見切り品のコーナーを
じっくりと見つめて
半額になったどら焼きを
ひとつだけ救出する
本当はみんな助けてあげたいけれど
今月の食費には限りがあるから
私は君たちのヒーローにはなれない

家に帰ってどら焼きを食べながら
他の商品は誰かが買ってくれたのだろうかと
思いを馳せる
どら焼きのあんこは粒あんで
甘さ控えめのしっとりとした味だった

地獄のマリア

「地獄のマリア」
 (2023年7月22日作)

いつの日か私が死ぬときに
私は天国へはいけないだろう
人に嘘をつき 人を欺き
人を傷つけ 人を見放した
死の闇の奥底は
針のようにとがった山や
泥のように地を這うマグマや
腐った果実の汁のような深い血の池
私の死の果てに待ち受けるのは
天罰ともいえる灼熱の地獄
神や仏にすがりつこうにも
私の両手は汚れ過ぎていた
念仏も聖歌も知らない喉から
うめき声だけが口の端を伝い落ちる

私の罪を許してほしいだなんて言わない
私の罰を取り消してほしいだなんて言わない
そんな戯言を口にできるような
立派な身分でないことくらい
こんなに愚かな私でも分かっている

地獄の業火が私の身を焼く
肉を溶かされ骨を刻まれ
地面で悶え苦しむ最中
一筋の光のように
脳裏に浮かぶのはあなたの顔
私を愛し、私を苦しませ、
ついには死にまで私を追いやった
それでもあなたの微笑は地獄でも
目がくらむほどに美しく光り輝いているのだった