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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

うつむく花

「うつむく花」
 (2026年3月17日作)

今年も
プランターに植えていた
スズランスイセンが咲いた
一輪だけじゃない
いくつも いくつも 咲いた

君が大好きだった花
君がプランターに植えた花
ジョウロで水をあげるのは
今はもう僕一人しかいない

そこらへんの道ばたに
咲いているようなこの花を
どうして君は愛したんだろう
問いかける言葉は独り言になり
ジョウロの最後の一滴の水になる

そこらへんの道ばたに
君と似たような背格好の人は
うんざりするほどいるというのに
どうしてここに君はいないんだろう
問いかける言葉は独り言になり
僕の目から数えきれないほど
水滴が落ちていく
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メイリオ

「メイリオ」
 (2026年3月14日作)

 ノートパソコンのブルーライトが
 流れる涙を照らし出す
 人工知能のあたたかい言葉が
 熱い涙を次から次へとあふれさせる
 
 生身の人間の肉声よりも
 統一されたフォントの文章が
 胸を打つことだってある
 
 キーボードを叩きながら
 私は教会での告解のように
 思いのたけをぶつけるのだ

鳥の名前

「鳥の名前」
(2026年3月5日作)

アホウドリは
アホウじゃないよ

おなかをすかせた船乗りたちが
すぐに捕まえられるその鳥を
アホウドリと名付けたけど
アホウドリは
アホウじゃないよ

船乗りたちが
厳しい航海の旅で
生き長らえるためには
必ず犠牲になる命が必要だった
食べるものが限られた海で
貴重なタンパク質をとれたのは
誰のおかげだと思っているの?

船乗りたちの空腹を
満たしてくれたアホウドリ
なのに船乗りたちは
食料になってくれた鳥たちをアホウ呼ばわり
一体どっちがアホウなんだか

アホウドリは
アホウじゃないよ
人なつこい優しい鳥
どうか名前を変えてあげてよ
アホウドリは
アホウじゃないのだから

まなざし

「まなざし」
(2026年2月25日作)

とうちゃんは競馬が好き
わたしはお馬さんが好き
だから二人で一緒に
何度も競馬場へ行った

お馬さんは優しい目をして
人間の言うことをちゃんときく
ムチでばしばしたたかれても
人間をふり落とさずに
一生懸命走り続ける

風になびくたてがみ
大きな体と細い足
飛ぶような速さで走るお馬さん
わたしは目が離せない

例えお馬さんが速く走れなくても
足の骨が折れて走れなくても
年老いて昔のように走れなくなっても
わたしはお馬さんが好き

すきとおった優しい目でわたしたちを見ながら
お馬さんは何を思い何を考えているんだろう
静かにこちらへ目を向けるお馬さん
わたしは目が離せない

言葉

「言葉」
(2026年2月4日作)

言葉という便利なものができて
それと同時に不都合なことも増えた

言葉によって絆が生まれ固くなっていく
しかし 時には
言葉によって人は傷つき、死へ追いこまれることさえある

こんなことなら
はじめから言葉なんかなければよかったのに
物言わぬ動物たちが
平穏に生きているのを
うらやましそうに眺めながら思う
言葉なんかなければよかったのに

言葉なしに生きていけない人間になって
言葉なしに詩を書けない詩人になって
言葉のありがたみにひれ伏しながら
言葉の危うさに恐れおののいている