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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

「蝶」
(2024年1月8日~1月9日作)

友だちの家に行くと
家の壁に蝶の標本が飾られていた
まるでジュエリーボックスのようにきれいだった
だけど、野の花の近くを
ひらひらと羽ばたく蝶のように
美しいとは言えなかった

自由を奪われ
命を奪われ
土へかえることも許されず
標本の蝶たちはガラスの中で
ミイラのように見世物になっている

本当はもっと花の蜜を吸いたかっただろう
春の風と踊りたかっただろう
もう一匹の蝶と共に子孫を残したかっただろう

友だちは蝶の標本を指さして
あれやこれやと自慢げに説明しているが
それらの言葉は僕の耳を素通りしていく
僕は話を聞いているふりをして
うん、うん、と頷くばかりで
かたく拳を握りしめていた
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流星の刻印

「流星の刻印」
(2024年7月10日作)

私たち命あるものは
死へと一直線に向かう孤独な流星

自分だけはずっと死なないのではないかと
のんきな幻想を抱きながら
闇を駆けて あっという間に燃え尽きる

死は そんなに先のことではない

燃え上がるこの精神と肉体をもってして
私は自分が生きた証を
この地球上に遺して消えたい
願わくば人の心を打つような
一編の詩を遺して
私はいきたい

「絆」
(2025年9月27日作・改)

数十年間
毎週土曜日、私は早起きをした
私は患者
あなたは精神科医

「よく眠れてますか」が
あなたが必ず私にする質問
黒ぶち眼鏡を指先でくいと上げながら

毎週顔を合わせるものだから
病の話を放り投げて
世間話をするのが普通になっていた
例えば私の親戚の話、好きな相撲取りの話
医師の学生時代の話、箱一杯みかんを買った話
時には愚痴や泣き言のようなことさえ
口にしていた私の医師

そして初秋を迎える頃
あなたは突然この世から旅立った

診察室だった部屋には
医師の遺影が飾られ、
たくさんの白い花々に囲まれていた
「患者と雑談するのが好きだ」というあなたの言葉が
私の心に優しいあかりを灯してくれる

長い長い月日をかけて
二人で育んだものが
もし絆といえるのならば
それは解きほぐれることのない、
固く結ばれたものであってほしい

せめて最期に一言、伝えたかった
心からのお礼の言葉を
私はあなたに叫びたかった

開花

「開花」
(2025年5月17日作)

涙は土に落ちて
種になる
いくつも いくつも 涙を落とせば
土の中の種も どんどん増えていく
そして
長い時を経て
土から芽が出て
やがて花を咲かす
落とした涙の数だけ花は咲く
色とりどりの花畑の中で
今、君は笑っている
幾多の困難の果てに
取り戻した笑顔
もう二度と見れないかもしれないとすら思った
その笑顔

今、君は どの花よりも美しく咲いている

不滅の魂

「不滅の魂」
(2025年4月27日作)

僕の死は 無駄にはならない
僕の詩は 君の心に沈んでいく

君が何かを書きたいという衝動が
強く生じる度に
君は僕の詩を書くだろう

君が作り出す詩の陰には
いつも僕の姿が見え隠れする

君は新しい詩を書き終える度
椅子の背もたれにもたれかかって
重い溜息をこぼすことだろう
なぜなら
どんな詩を書いても
その中に僕がいることを
痛いほど思い知るからだ

どんなに僕を忘れようとしても
どんなに僕から逃れようとしても
君の詩の中にはいつだって僕がいる

紙面を黒く埋め尽くす僕の存在

僕は死んでも君の詩に生き続けるんだ
永遠に