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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

桜へ

「桜へ」
(2022年3月28日作)

春には満開の花を飾り
夏には透きとおった緑に満ちて
秋には枯れ葉で絨毯を作り
冬にはひたすら裸で寒さを耐え忍ぶ

どうしてあなたはそんなことができるの?
どうしてあなたはそんなに頑張れるの?

毎年 毎年
移ろいゆく季節の中で
違った顔を見せるあなた

一年 一年
ちゃくちゃくと老いていくだけで
呼吸することだけで精一杯の私

舞い散る花びらの中で
私は飽きることなく問いかける

どうしてあなたは変わらないでいられるの?
どうしてあなたは強く生きていられるの?

その答えは きっと
枝をしならせる春の風の中に
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ひとり

「ひとり」
(2021年10月9日作)

人はひとりで生きて
ひとりで死んでゆくものだから
いつも寂しさが影のようにつきまとう

たくさんの笑顔で満ちあふれたテーマパークにいても
老いも若きも集う賑やかな縁日にいても
心のどこかに寂しさが鎮座する

学校にいても 会社にいても
家にいても 町に出ても

周りの人々を見回して ふと思う
ああ この人も あの人も
いつかは死んでしまうのだと
そして自分もひとりきり
いつかは息を引き取るのだと

枯れ葉舞う道すがら
夕方が早まった空と冷えてきた風
秋の到来がなおさら私を心細くさせる

ひとりは良い
ひとりは気楽だ

かげぼうしを足もとにくっつけたまま
私は自分自身にそう言い聞かせる
キンモクセイの甘ったるい匂いに
ひととき 酔いしれながら

ココア

「ココア」
(2021年8月22日作)

いつもの癖でココアを二人分作った
私以外に飲む人はいないのに
ふたつのコップにココアを注ぐ
ゆげが踊るコップを傾けながら
そういえばあの人は猫舌だったことを
思い出す
あっという間に一杯目のココアを飲み干して
もう一杯のココアに手を伸ばす
ぬるくてちっとも美味しくないくせに
二杯目のココアが胸にしみる

一人で住むには広すぎる部屋
一人で暮らすには多すぎる食器
一人で過ごすには持て余す時間

こげ茶色のココアは
透明のしずくになって私の頬をつたう
寄り添うふたつのコップのように
もう一度あなたのあたたかな背中に
もたれかかりたい
いつか私の目の前にひょっこりと現れて
私を驚かせてほしい
悪ふざけが好きだったあなたなら
そんなことがあっても不思議じゃない
そしてまたその腕で
私をかき抱いて
二度と離さないと誓って
二度と離れないと誓って

神さま

「神さま」
(2021年7月22日作)

神さまは忙しい
地球で生きる人々の声から
逃れることができないのだから

「母の病を治してください」
「息子の怪我を治してください」
「地球の温暖化を食い止めてください」
「世界を平和で満たしてください」

必死で祈る人々を
神さまは見守ることしかできない
そして人々は
人生が思い通りにならなければ
怒りの矛先を神さまに向ける

「あんなにお祈りしたのに
 どうして神さまは何もしてくれないの?」

神さまは途方に暮れる
人々の悲哀を罵声を憎悪を
全て受け入れながら
日々絶えることのない人々の声に
耳を傾けている

神さまだって泣いていい
都合のいい時だけ愛を捧げる人々なんて無視して
神さまだって泣いていい

それでも 神さまは
耳をふさぐことはしないのだ

桜ふぶき

「桜ふぶき」
(2021年5月28日作)

人生はさながら風のようで
人々は皆舞い散る桜

新芽の頃が遠い昔のことのようで
開花の頃がつい最近のことのようで
あれよあれよという間に
桜の花弁は宙に浮く

思い残すことなんて何もない
と、桜ならば言うだろう
私にもそんな言葉が遺せるだろうか
みじめたらしく地面で朽ちるより
いっそ美しいまま雪のように消えてゆきたい

どっと押し寄せる春の風に身を任せ
花見に訪れた人々の微笑の中
束の間の幸福を味わいながら
私は川をつたい
海へゆきたい