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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

「雨」
(2024年9月22日作)

酸性雨を浴びた銅像が
両目から涙を流している
乾いた血のような赤黒い涙を

酸性雨を浴びた森林が
黒く汚れて枯れ葉だらけになっている
まるで退廃的なオブジェのように

酸性雨を浴びた川や湖で
魚も昆虫も甲殻類もプランクトンも
みんな みんな 幻のように消えていく

地球を守るために
私たちは動き出さないといけない
地球を守ることこそが
私たち人間を守ることにも繋がっていく
車を使わず歩くだけでもいい
エレベーターを使わず階段を使うだけでもいい
小さな努力が積もり積もって
大きな成果へ繋がっていく

そして いつか 私たちに降り注ぐ雨が
きれいな雨になったとき
銅像は変色しないだろう
森林は青々と生い茂るだろう
川や湖の生き物たちはよみがえるだろう
私たちがいなくなった未来で
子どもたちは生き生きとして
水たまりを踏んで遊んでいるのだろう
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葉桜

「葉桜」
(2024年3月29日作)

「こんな病気になって
 あんたは幸せって思えるときがあった?」
という何気ない母の問いかけが
喉に刺さった魚の小骨のように
私の心に突き刺さっている

改めて考え直してみると
幸せだと思えるときが
あったような なかったような

日課の散歩をさぼって
家から一番近い公園の
桜の木の下のベンチに座る

はらはらと舞う桜の花びらは
死へと向かう悲しみで
こぼれ落ちる涙にも似て――

私は桜に問いかける
「こんなあっけなく散ってしまって
 あんたは幸せって思えるときがあった?」
そのとき、どうっと風が吹いて
大量の花びらが一斉に飛翔した
葉桜になりかけたソメイヨシノを見上げて
私は自らが口にした愚問を頭の中で取り消した

――生きているだけで 幸せよ

言葉の力

「言葉の力」
(2023年7月14日作)

言葉は
人を殺せる
ピストルの引き金を引かなくても
ロープで首を絞め上げなくても
もっと単純で簡単に
人を殺すことができる
大した手間もかからずに
「死ね」という言葉に文字を
ネット上でアップしたら
ただそれだけで
対象者の心をずたずたにできる

言葉と情報であふれかえった現代
人は言葉の重みを忘れ
知らず知らずのうちに誰かを傷つけている
(または意図的に)

言葉は人を殺せるほどの凶器にもなりうるが
人を癒す薬にもなりうる
労わりや愛情を
言葉でもって誰かにふりまくこともできる

言葉は
本来誰かを痛めつけるものじゃない
言葉は
本来重要な想いを誰かに伝える尊い手段

忘れないで
言葉の威力を
言葉の重大さを
言葉の役割を
言葉の大切さを

地球人

「地球人」
(2023年7月5日作)

海は空の鏡っていうから
この満天の星も
きっと海がうつしている
広い広い水面の上に
どれだけの数の星が
またたいているのだろう
そして
ほがらかな月の光を受けて
砂浜の貝殻たちも
星のように輝いている

こうして
波の音にゆられながら
大の字で砂浜に寝ていると
胎児の頃に戻ったみたいだ
鼓動の音と波の音が
重なり合って ひとつになって
命の音が
たまらなくいとおしい

広い広い宇宙の中で
一人の生命体として
地球で生きていることが
果てしない神秘に満ちている

月光

「月光」
(2023年6月19日作)

ぱちん ぱちん
両手の指の爪を切る
夜更けに爪を切っていると
昔言われたことを思い出す

「夜中に爪を切ってしまったら
 親の死に目に会えなくなるよ」

両親を亡くした今の私には
もう関係のない言葉なのに
夜に爪を切るときは
決まってその言葉を思い出す

ぱちん ぱちん
両足の指の爪を切る
爪切りからこぼれ出た爪の破片が
ぽろりと床にこぼれ落ちる
薄汚れた三日月のように
爪の破片が鈍く光っている

私は部屋の窓を開けて
真っ暗な空の中から月を探す
今夜はちょうど満月で
父母の死に顔のように青白かった
私は急いで窓とカーテンを閉め
爪を切る作業に戻る

ぱちん ぱちん
爪を切る
深爪になりそうなくらい爪を切る
静寂に満ちたこの部屋の中で
爪を切る音だけが
ぱちん ぱちん
と 響いている