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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

神さま

「神さま」
(2021年7月22日作)

神さまは忙しい
地球で生きる人々の声から
逃れることができないのだから

「母の病を治してください」
「息子の怪我を治してください」
「地球の温暖化を食い止めてください」
「世界を平和で満たしてください」

必死で祈る人々を
神さまは見守ることしかできない
そして人々は
人生が思い通りにならなければ
怒りの矛先を神さまに向ける

「あんなにお祈りしたのに
 どうして神さまは何もしてくれないの?」

神さまは途方に暮れる
人々の悲哀を罵声を憎悪を
全て受け入れながら
日々絶えることのない人々の声に
耳を傾けている

神さまだって泣いていい
都合のいい時だけ愛を捧げる人々なんて無視して
神さまだって泣いていい

それでも 神さまは
耳をふさぐことはしないのだ
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桜ふぶき

「桜ふぶき」
(2021年5月28日作)

人生はさながら風のようで
人々は皆舞い散る桜

新芽の頃が遠い昔のことのようで
開花の頃がつい最近のことのようで
あれよあれよという間に
桜の花弁は宙に浮く

思い残すことなんて何もない
と、桜ならば言うだろう
私にもそんな言葉が遺せるだろうか
みじめたらしく地面で朽ちるより
いっそ美しいまま雪のように消えてゆきたい

どっと押し寄せる春の風に身を任せ
花見に訪れた人々の微笑の中
束の間の幸福を味わいながら
私は川をつたい
海へゆきたい

初秋の友

「初秋の友」
(2021年4月20日作)

暖色に染まった並木道
木々を見上げながら
私はゆっくりと歩いていた

すると どこかから
かさこそ かさこそ
音がする

ふと地面に目を落とすと
私の足もとに
赤い木の葉が一枚落ちていた
その葉は丸まった小さな葉で
そよ風ひとつで元気に駆け回る

風は寒くはないものの
秋の香りをほのかにまとっている

ゆっくり ゆっくり 歩く私と
かさこそ かさこそ 私について回る葉っぱ
独りきりの散歩に
思わぬ小さな旅の友が
寄りそってきた

かさこそ かさこそ
葉っぱは幼い子どものように
無邪気に走り続けている

風がほんのり寒くても
散歩のおかげであたたかい
旅の友はどこまで私について来るのやら

――なんなら一緒に帰ろうか?

かさこそ かさこそ
くるくる回る葉っぱを
両手のてのひらに乗せる

物言わぬ新たな友だちに
私はそっと微笑みかけた

詩と私

「詩と私」
(2021年3月11日作)

詩はいつも風来坊
私はいつも待ちぼうけ

今か今かと待ち構えていると
詩はそっぽを向いて知らんぷり
詩は約束を取り付けず
あるとき突然私の胸の扉を叩く
さぁ寝ようかと布団にもぐれば
詩が乱入して
寝ぼけまなこの私を叩き起こす

まるで聞かん坊のように
私を振り回す詩
嫌気がさして
ペンも紙も放り出したっていいはずなのに
私はどうしてもそれができない

詩はいつだって自由気まま
私の都合などお構いなしだ

それなのに
それだからこそ
私は詩に魅かれてしまう

掴みどころのないその存在は
絶えず私を虜にする

氷結

「氷結」
(2021年1月14日作)

雪の夜はしんしんと冷え
白い雪道に私の足跡だけが
きしんだ音を立てながら残る

「ただいまぁ」と言ったって
「おかえり」の声は今日もない

こたつの電源をつけ
テーブルの上には
スーパーで買ったお惣菜やおにぎりを乗せ
ついでに缶ビールを傾けて飲む
しんと静まり返った空間が嫌で
テレビをつけると
皮肉のように
ランドセルのCMが華やかに流れ出す
私はすぐさまテレビを消して
ゆらゆらと歩いて
四畳半の部屋へ入る
真新しいけど埃を被った学習机
箱にしまい込んだままの新品のランドセル
おもちゃ箱の中で持ち主を失ったリカちゃん人形
この部屋に長居はできない
なにしろ今日は雪の夜だし
北向きのこの部屋は心まで凍てつかせる
逃げるようにこたつの前に座り、ビールを一気に飲み干す

写真立ての中で笑顔を見せるあの子に向かって言う

「リカちゃんが、あんたを探してるよ
 どこに行ったの?って
 リカちゃんも泣いてるよ」

こんな酔っぱらいの言葉を聞いたら
あの子はなんて答えるだろう?

「ママ リカちゃんは人形だから泣かないんだよ」

って、至極当然のことを言ってのけるかもしれない



雪の夜は暖房をつけても
なかなかすぐには暖まらなくて
私はこたつ布団に顔を押し付けて
嗚咽を
涙を
叫び出しそうになる声を
ただひたすらこらえている
どれだけ体が温まっても
私の心は凍りついたまま
ちっとも溶ける気配がない
あの子を失ったあの日からずっと――