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私が今まで書いてきた詩を掲載しています。 無いとは思いますが、無断転載(盗作)、複製等は禁止です。 閲覧者様の暇つぶしになれたら幸いです。

さくら

「さくら」(2009年8月頃)

ひとひら
ひとひら

細雪のような花弁は散る

ひらひら
ひらひら

蝶のように風にもてあそばれて

時に促されるまま
生き急ぐように咲いて
枯れ朽ちる定めを恐れているのか
美しいまま花は舞っている

ひとひら
ひとひら

過ぎ去る日々を数えるように

ひらひら
ひらひら

地面へ 水面へ

花は踊る
さよならは悲しみではないとでも言うように
花は踊る
死に逝くことさえ楽しむかのように

ひとひら
ひとひら

花は落ちる

ひらひら
ひらひら

花は落ちる

美しいまま花は舞う
美しいまま花は散る

晴れ渡る空の下で
あの鮮やかな風の中で
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斜陽

「斜陽」(2008年9月~2009年8月頃)

いつしか必ず別れが来ると知りながら
私はあなたにもたれかかり
いたずらに時が過ぎていくのを待った
こうして
かたく手を繋ぐことで
離れずにいられるわけがないのに
こうして
身を寄せ合っていても
永遠に繋ぎとめたままでいられないのに

いつしか必ず別れがくるのだと
言い聞かせながら
私はあなたにすがりつき
いつまでも時が止まるよう祈った
嫌なことも怖いことも
忘れたふりをして
二人でいる間だけは
安らぎに包まれ呼吸ができる

近い未来 必ず別れなければと
心に誓いながら
私はあなたのそばにいて
いつからか迫り来る夜に怯え始めていた

悪夢

「悪夢」(2008年9月~2009年8月頃)

これ以上の幸せはないってくらい
笑って
はしゃいで
浮かれていたの

夢の中で
あなたは生きていた
この世に生きていて
本当は死んでなんかいなかったんだって
あなたとともに笑っていたの
よかった よかった 本当によかった
そしたらこれからもずっと一緒だね
また会えるね お喋りできるね
約束だけで途切れた旅行も
やっと行くことができるんだよね

これ以上の幸せはないってくらい
笑って
はしゃいで
浮かれていたの

夢から醒めて
目を開けて
寝ている部屋の天井を見た
その瞬間が来るまでは
わたしは
笑っていられたの

たずね人

「たずね人」(2008年9月~2009年8月頃)

どんなきれいな言葉で詩を書き連ねても
あなたは いなくて
いくら声の限りに名を呼んでも
あなたは いなくて
何度あなたが歩いた公園に立ち寄っても
もう あなたは いなくて

透き通った新緑の木立が
光を浴びて輝いているだけなのです
さびついたブランコが
風に揺れて寂しげな音を立てています
子どもたちの甲高い笑い声ばかり
真昼の空に響くのです

石けりでもしましょうか
手遊びでもしましょうか

何をして気を紛らわせたらいいのでしょう
あなたのことを暫し忘れさせてくれるような
そんな暇つぶしがあればいいのに

紅葉

「紅葉」(2008年9月~2009年8月頃)

雨粒をまとった紅葉が
街路の端に落ちていた
マッチ売りの少女が見たともしびのような
小さな紅葉だった

雨に濡れてしまわないように
握りつぶしてしまわないように
そっと手のひらに収め
歩き出す

家に帰ったら
まずリネンのタオルでふいてあげよう
捨て猫をきれいにしてあげるように
葉っぱの先までたんねんに
冷たいしずくをぬぐってあげよう

ひとしきり眺め終えたら
本棚のすみの国語辞典の中に挟もう
押し花のしおりと同じように
紅葉のしおりを作り上げて
私はいつもそれを持ち歩く

手提げ鞄にしのばせた
黄色い文庫本の中
時を止めた秋の夕暮れが
項をめくれば顔を出す